プリチャッツ・ロード 3番地

イギリスの大学院に留学し、無事卒業。帰国後の日常を綴っています。

外資系金融で働いてわかったこと - 1年目を終えて

某外資系金融で働き始めて、1年が経った。1年が経ったからこそわかったこと、考えたことがあるので、まとめておこうと思う。「外資系金融」という響きの、リアルはいかばかりか。1年目の自分からのリポート。

 

Up or Out

外資は Up or Out とよく言うけど、その雰囲気は非常にある。特に若い世代にはある。
入社年数の若いうちに良い結果・パフォーマンスを出せないと、社内に残っていても、中途半端にダレた中年社員になる雰囲気が漂っている(というか見ていてそういう人が多い)。
「合わない」もしくは「ここでは良いパフォーマンスが出せない」と感じたら、会社を出ていかないと、もうそこから上がれない雰囲気が強い。だから、うちの会社(本社)は若い世代が極端に少ない(新卒を採用し続けている部署でさえ少ない)。
ただ、この "Up" が、また厳しいのだ。
 

Achievement of Goals = Must

人事評価は、完全に外資だ。
設定した目標を達成しても、±0の評価(C)にしかならない。成長して、要求されたパフォーマンスと背伸びした目標を達成して、初めて±0 の評価なのだ。
昨年の状態を維持したまま今年を終えたら、D = マイナス評価。ポジションは降格となる。
これって結構厳しいよね。常に成長が求められ、成長して当たり前。プラスの評価をしてもらいたかったら、想定の倍の成果を生み出さないといけない。
 
現状維持はダメ。常に成長が求められる。ーーこの言葉だけ読むと、そりゃぁどこの会社でもそうだよ。どこの世界でもそうだよ。と言われそうだけど、純日系企業ではここまで厳しくないと思う。可もなく不可もなく仕事していても、ポジションも給料も上がっていくーーそういうのが伝統的な日本企業。
うちの会社(外資系金融)は、それとは180度異なる。
プラスの成果を出して当たり前。それを超えて成果を生み出して、初めて「いいね」が貰える。平均的な結果すらも出せなかったら、かなりツライ見方をされてしまう。厳しい。
 

No Education

「新人を育てる」という雰囲気はほとんどない。中途入社に至っては、業務を教える雰囲気はほぼ皆無と言っていい。特に本社(の部門)は部門別採用で、新卒採用もたまにしか行われないので、新人を教育するノウハウがそもそも無かったりする。もちろん、優しい人達は一定数いるので、誰も仕事を教えてくれないと言うことはない。でも「(新)人を育てる」という”仕組み”は存在しない。書いていて笑える(笑)
 
会社側の視点に立てば、もともとポテンシャルがある人間を選抜して採用してる、ということがあると思う。予備知識や経験のない”まっさらな人間”を採用することはほとんどないのだろうし、そういう新人に丁寧に教える、ということもしない。まぁ、理屈としては合ってるよね。
 
人事は新卒研修はやってくれる。会社について知ってもらおう、ということで。でも業務を教えるのは各部門に丸投げだし(部門別採用だし)、その部門側も「丁寧に教えて育てていこう」という気概は全くないので、新人はいきなり現場に立たされ、OJTの言葉を用いれば「崖から突き落と」されるわけだ(笑)言葉ヅラだけでも厳しいし、実際に経験しても厳しい。
 

「外資系金融で働いている」という実感を持てるか

コロナ入社だった自分。出社して、同僚や先輩と顔を合わせた回数はかなり少なかった。出社したところで人は少ないので、「会社の雰囲気」なんてわからない。
自分がこの大きな組織の1人であることなんて、全然感じられない。在宅勤務をしていたって当然感じられない。
だからなのか、この1年間で「自分は憧れだった外資系金融で働いてる!」という高揚感とか、自信みたいなものは、ほとんど感じなかった。友達にどこで働いてるか紹介するときに、(一応外資系金融か...)と感じる程度だった。外資系金融でめっちゃ働いてます!っていう雰囲気があれば、それだけで自信になったと思うけど、家で、私服かパジャマか分からん格好で仕事してて、同僚の顔も全然見えない... 外資金融の雰囲気なんてどこにもない。
 
そうだね、「職場の雰囲気」という点では外資系金融は感じられないし、この先も多分感じないと思う。
でも「結果を求められている」とか「成長して当たり前」とか、「自分から掴みに行かないと業務を知る機会はない」とか「Up or Out が見事に映された若手社員」とか。こういうところから、外資系金融は結構感じられると思う。1年経ってみないとこれは気づかなかった。
 
自分は外資系金融で働いてるんだ という意識を持てたら、もっと自信もついて、この仕事を誇れるかな。夢のような会社に入ったはずなのに、少しぼんやりした1年目だった。